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改めて「日本先史岩面画研究会」について
エル・カスティージョの「最古」の年代という話題で、このブログを再開しましたが、このニュースは残念ながら、日本では大きな話題にはならず、半月ほどが過ぎてしまいました。このブログ全体ののタイトルにもなっている「日本先史岩面画研究会」は、我が国ではまだまだマイナーな研究分野にとどまっている「先史岩面画」というものを、より大きな関心の対象にしてもらうためにも活動している、実在の研究組織であり、今回は、その紹介を改めて書いてみたいと思います。
日本には、これまでのところ、本格的な先史岩面画遺跡は、北海道の手宮洞窟(小樽市)とフゴッペ洞窟(余市町)しか発見されておらず、その存在も、全国的には広く知られているとは言いがたいところです。この研究会は、特に後者のフゴッペ洞窟で1950年に発見された「岩面刻画」を共同で調べるプロセスの中で1990年代に発足し、既に10年以上継続しています。下の写真は、2004年に完成した、新しい保護屋で、この中の深さ数メートルのフゴッペ洞窟の岩面に、約1,900年前に刻画が制作されたと、まだまだ年代には異論はありますが、私は考えています。 先史岩面画とは、改めて定義しますと、自然の凹凸や亀裂に満ちた岩面に手を加えて平面にならすことなく色彩を施したり、線条を刻んだりして、かたちを作り上げた美術作品です。世界中に分布しており、年代も、今回のスペインの洞窟壁画の年代が正しいとして、40,000年以上前から、つい最近まで制作され続けてきた造形現象です。有名作品としては、フランスのラスコー洞窟やスペインのアルタミラ洞窟があり、私も主たる研究対象としております。しかし、世界各地に様々な制作年代の作品が発見されていて、私も機会が与えられれば、すぐに飛んでいって、できるだけ実際の作品を、まさにそれが制作された場所で見ることを心がけております。「岩面画」は英語では「RockArt」ですが、研究の始まったスペインなどのラテン語圏では、「arte rupestre」(フランス語)と呼ばれており、英語でも、「rupstrian」は「岩面画に関心を持つ人」という意味があり、このブログのアドレスにも用いています。 具体的な事例は次回以降に書きますが、現在では、乾燥地帯など、あまり人間が住んでいない地域で発見されていることが多く、作品のあるところまで赴くだけでも一仕事であり、その困難な行程の末に、誰とも作者がわからないまま、人知れず、自然に包まれて残ってきた形に直面するだけでも、その感慨は計り知れません。日本でも、多くの皆さんにこの知られざる芸術に親しんでいただきたいと願って、研究会活動も行っているところです。
by rupestrian
| 2012-06-28 15:16
| 先史岩面画
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