世界各地の先史岩面画に関心を抱く皆さんとの情報交換を行う場です。
by rupestrian
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岩面刻画という用語

マカピーです。昨日に引き続き、用語について書きたいと思います。まあ、いろいろなご意見をいただければ幸いかと願っております。
下は北海道余市町にあるフゴッペ洞窟の主要な作品のモノクロ写真ですが、非常にシャープな輪郭線が印象的です。これほど深く鋭くえぐられた作品は世界的にも珍しく、この遺跡の共同研究から始まっている我々のグループも誇っていいのではないかと、私自身、専門的に学ぶ者として評価しています。この、色を主たる技法としていない作品を、長らく私は「岩面刻画」と呼んでいて、これは、かなり定着しているのではないかと自負しております。英語でRock Engravingの訳語として使い始めたのですが、その後世界的な用語法の見直しがあって、この写真のような作品はPetroglyphに統一することになりました。この時点で、たとえば朝鮮半島でそう訳されているように「岩刻画」と変更することもできたのですが、前の項目に書きましたとおり、「面」にこだわる者として、そのまま「岩面刻画」を残した次第です。それで、Rock Engravingの訳語は「岩面線刻画」としました。これは、たとえば、ヨーロッパの洞窟壁画などで、石器で一度のストロークにより、表面を線として取り除いて、岩の内部の白っぽい色で輪郭線などにした作品を指しており、まさに「線刻画」といっても、かえって正しいのではないかと、私自身は考えています。Engravingは元々は版画の用語であり、鋭い線刻が特徴です。
このように用語にこだわるのは、研究者の悪い癖ではありますが、まあ、アカデミズムというものはこういう些末主義から始まるのだ、ということをご理解いただければ幸いです。結果的に、同じ漢語文化圏で、用語の齟齬を来しているわけで、既にそれぞれの国で定着しているのも確かですが、できれば、私の用語法で統一していただければと、願っております。
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by rupestrian | 2009-09-18 16:31 | 先史岩面画
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