世界各地の先史岩面画に関心を抱く皆さんとの情報交換を行う場です。
by rupestrian
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2009年 10月 09日 ( 1 )

「地上絵」と「地上画」

マカピーです。10月に入って、後期の授業が始まり、このページの更新も滞ってしまいました。ずっと気になっていたのが「地上絵」という用語で、これは日本語として完全に定着し、私自身もそのまま使ってきておりました。しかし、その英語はGeoglyphであり、まさに岩面刻画Petroglyphに類していることを指摘しなければなりません。つまり、地面を刻んで、画像を制作したのがGeoglyphであり、このページで一貫して主張している事からも、「地上画」と訳すべきだと思いますが、いかんせん、既に「誤訳」が定着している場合はどうすればいいのか、悩ましいところです。
下の写真は、私が30年近く前にペルーのナスカでセスナ機から撮ったもので、元々斜面に制作されていて、地上からも認識可能なため、具象的な人物像が表現されています。真っ平らな砂漠に制作されているものは、幾何学的に転写可能な像や図形であり、その方がナスカの「地上絵」として有名でしょう。問題は制作技法で、陽光で焼けて濃くなった表面の土を取り除くと、したのより薄い色合いが露出して、それが輪郭線などの役割を果たす事になります。これは、まさに岩面刻画と同じ技法であり、そういう点で、同じような用語法があるのだろうと思います。Geoglyphの場合、技法は同じでも、あまりにも規模が大きすぎるため、別物と認識してしまいますが、本来は同じものであると言っても間違いではありません。Geoglyphは砂漠や山の斜面という大地を支持体にして、展開された人類の壮大な芸術であり、その存在意義を軽視することはできません。先に紹介しましたチリ・アリカ近辺のGeoglyphは、山の斜面に制作されている具象的な作例ですが、技法が少し異なって、大きな石を置き、それを連続させることでかたちとしています。また、イギリスGeoglyphは山の斜面の牧草を取り除いて、下の真っ白いチョーク質の土の色を見せるという技法です。他にもアメリカ合衆国にもありますし、世界的な造形現象であるといえるでしょう。
私も先史岩面画を専門に学ぶ者として、大いに関心はありますが、まだまだ余裕がなく、傍観しているだけです。現在は、その制作動機や意味内容に関心が持たれていて、それこそトンでもない議論もまかり通っている気がしますが、できれば、より根本的な造形原理も探求されるべきではないかとも思っております。
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by rupestrian | 2009-10-09 16:09 | 先史岩面画